情シス必須のベンダー選定術
ベンダー選定には情シス部門が積極的に関与し、発注内容に応じて柔軟な視点を持って最終的なベンダーを選びましょう。適切なベンダー選定を行わなければ、プロジェクトそのものが瓦解する恐れもあるので注意が必要です。
ベンダー選定とは
もともとベンダーとは「製品・サービスを販売する事業者」を言いますが、情シス部門で頻繁に使われるベンダーとは「システム構築・運用を依頼する事業者」を言います。この事業者を選ぶプロセスが、いわゆる「ベンダー選定」です。
ところで、新規ベンダー選定において、しばしば情シス担当者が不在である例が見られます。その主な理由は、企業内において情シスがインフラ担当になっているから。
システム構築・運用において、初期段階でのベンダー選定は非常に重要なプロセスです。このプロセスには再現性がありますが、この再現性のノウハウを蓄積すべき部門は情シスに他なりません。つまり、ベンダー選定において情シスが不在であるという状況は好ましくない、ということです。
失敗しないベンダー選定プロセスとは
ベンダー選定の一般的なプロセスは、時系列的に「事前調査フェーズ」「選定準備フェーズ」「評価・選定フェーズ」の3段階に分かれます。それぞれのフェーズで行われる具体的な作業を確認しておきましょう。
事前調査フェーズ
ベンダーの情報を調査し、候補となる事業者をリストアップ。RFIを作成し、該当の事業者に対して情報提供を行います。
選定準備フェーズ
RFPを作成して該当の事業者へ送付するとともに、各事業者の提案を評価するための評価項目・選定基準などを作成します。
評価・選定フェーズ
各事業者からの提案書を精査した上でプレゼンを聞き、最終的に契約する事業者(ベンダー)を確定させます。
ベンダー選定前の重要ポイント
上記、ベンダー選定のプロセスの中でも特に重要となる3点について、以下で掘り下げて確認しましょう。
RFIを明確に作る
RFIとは「Request For Information」の略語で、日本語では「情報提供依頼書」と訳します。何らかの商品・サービスを事業者に求める際、当該商品・サービスに関して事業者が持つ情報を提供してもらえるよう依頼する書類がRFIです。
RFIの目的は、事業者が持つ商品・サービスに関する情報を収集すること。まだベンダー選定が目的ではありません。
RFIを作るメリット
RFIを通じて複数の事業者から情報を収集することで、簡易的なスクリーニングを行うことができます。また、事業者からの回答の中に、より自社の目的にマッチした新しい商品・サービスの情報が含まれている可能性がある点も、RFIを作成するメリットになるでしょう。
RFIの作成ポイント
この段階では、まだ具体的なベンダー選定を目的としていないため、各事業者から提供された情報を比較検討しやすくするためにも、知りたい情報についてシンプルな回答を得られるようなRFIを作成することが大事。事業者が、概ね1~2週間で回答できる程度に項目をまとめると良いでしょう。
RFPを明確に作る
RFPとは「Request For Proposal」の略語で、日本語では「提案依頼書」と訳します。事業者へ業務委託等を行うにあたり、事業者に対して自社へ具体的な提案を行うよう依頼する書類がRFPです。
RFIの目的は情報収集でしたが、RFPの目的はベンダー選定になります。
RFPを作るメリット
事業者から提案してほしい情報を口頭やメールで伝えるのみの場合、各事業者における検討基準や提案内容のポイントがバラバラになり、結果として適切なベンダー選定が難しくなることもあります。そのようなリスクを回避するため、明確なRFPを作成しておくことは大変重要です。
RFPの作成ポイント
「誰が何をどうするのか」など、依頼範囲や役割などを明確に記載します。また、各事業者に伝えておいたほうが良いと思われる情報があれば、それらの情報も漏れなく記載します。
いずれの内容についても、誰が見ても正確に伝わる分かりやすい表現を心がけましょう。
ベンダー選定基準を明確に作る
最終的に業務を依頼するベンダーは、当該プロジェクトの成否を左右しかねない極めて大事な存在となります。主観や直感、想い、感情などで選定にブレが生じないよう、あらかじめ明確なベンダー選定基準を設けておきましょう。
ベンダー選定基準を作るメリット
基準を明確にすることで、特定事業者への肩入れを防いで適切なベンダーを選定できるようになるため、プロジェクトの成功可能性が高くなります。
仮にベンダー選定基準を作らずにベンダーを選んだ場合、想定していたシステムと異なる仕上がりになったり、大幅な予算オーバーになったり、スケジュールが遅延したりなど、様々なトラブルが発生してプロジェクトの成功を妨げる恐れがあります。
ベンダー選定基準の作成ポイント
可能であれば、RFPを作成する段階でベンダー選定基準を作成しておき、この基準をRFPに明記しておきましょう。ベンダー選定基準を明記することで、各事業者からの提案がより自社の希望にマッチしたものになる可能性があるからです。
ベンダー評価の注意点
最終的なベンダー選定のフェーズにおいて、各事業者を評価する際のポイントを確認しておきましょう。
要件の網羅性と実現度
RFPに記載している課題や目的などを十分に理解した回答かどうかを確認のうえ、各要件に対して網羅的な提案となっているかどうか、また提案の実現可能性が高いかどうかを評価しましょう。
初期費用とランニングコスト
初期費用やランニングコストが自社の予算感と合っているかどうかを評価しましょう。
ただし、コスト基準に偏りすぎるとプロジェクトの成否に影響を与える恐れもあることから、コスト評価については参考程度に留めるようおすすめします。
納期
ビジネスチャンスの視点に立てば、納期が遅すぎることは問題です。ただし、サービスの品質という視点に立てば、逆に納期が早すぎることも問題でしょう。
目的を実現するための妥当なスケジュール感であるかどうかを評価する必要があります。
開発・保守体制
事業者が想定している開発段階での体制、および、システムが本稼働した後の保守体制を吟味し、その内容が妥当かどうかを評価しましょう。
過去の実績や会社の安定性
過去に同様の案件を担った実績が豊富かどうか、また、プロジェクトを完遂できるほど会社としての安定性があるかどうかを評価します。
明確な評価基準をもって適切なベンダーを選定する
システム導入を通じてプロジェクトを成功に導くためには、その大前提として、適切なシステムを導入しなければなりません。適切なシステムを導入するためには、適切なベンダーを選定する必要があります。
ベンダー選定はプロジェクトの成否を左右する重要な要素の一つと理解し、情シス部門も積極的に関与しながら、明確な評価基準のもとでベンダー選定を行いましょう。
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